繰り返しはない、一回限りだからこそバレエは美しい

スポーツなどで難しい技とか、初めて出来た瞬間は

飛び上がって喜びたい気分になりませんか。

それはバレエも同じこと。

しかし、もう一度やってみても

必ず出来るとは限りません。

出来たときの感触、感覚はあるものの

それを再現するにはまたさらに練習が必要となります。

この辺りが、自然科学の実験などと決定的に違います。

自然科学の場合は第三者が論文で証明された通りに

やれば、同じことを再現できます。

いや、出来なければその実験は失敗なのです。

多くの人が同じ条件、同じ環境、同じやり方で

行えば必ず同じ結果となるのが原則で、

これが自然科学の考え方です。

 

ところが、個人の体験に属する行為は

同じ条件、同じ環境だからといって

必ず同じ結果になるとは限りません。

 

自然科学は一般化を目指し、

芸術は個人の表現による普遍化を目指します。

 

いいかえれば個人の体験の普遍化が芸術ならば

全く同じものを継承または再現することは不可能です。

同じように再現できたとしても

それは、過去に表現したものとは完全に同じでは

ありません。

ですからバレエの場合も同じで

同じダンサーが同じ踊りを何度も踊った場合

その踊りは、一見同じ踊りにみえて

実は、その踊りの表現には微妙な違いがあるのです,

 

私たちは毎回同じ作品、同じ踊りを同じダンサーが

舞台上で踊っているのをみるとき

それは前回の踊りとは全く違った踊りをみているのです。

だから毎回新鮮な気持ちと新たな発見が

出来るのです。

いや出来るはずなのです!

そのことをこころの片隅にほんの少し忍ばせて

踊りをみれば、

ダンサーのいや芸術家の特別な体験を

共有できるのです。

厳密にいえば固有の体験を普遍化する瞬間に

立ち会えるというべきでしょうか?

 

普遍化された踊りは多くの人にとって

特別なものを一般化された作品のように

鑑賞することができるのです。

ここに特殊な個人の体験ー芸術化ーによる

一般化された作品が出会う

それがバレエの舞台なのだと。。。。。

だからこそバレエは美しいのです。

 

それは私たちの人生とも似ています。

二度と訪れることのない

一回限りの時間・・・・

 

 

 

 

 

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